2023.02.24
チョコレートが白くなる現象「ブルーム」について
保管していたチョコレートをさあ食べようと開けたら、いつの間にか白くなっていた、という経験がある人も多いでしょう。
チョコレートが白くなる「ブルーム」と呼ばれる現象について、詳しく解説をいたします。
食べても健康に問題はありません
結論から言うと、ブルーム現象によって白くなっても食べられます。
健康に害を及ぼすといった健康面での問題もありません。
ただ、ブルームが起こったチョコレートは、見た目以外も劣化しています。
通常のチョコレートと比べると、カカオの香りが薄れ、風味が損なわれてしまうので、食感もザラザラ、ボソボソしたものとなります。
さらに、チョコレートが崩れて、まるで粉のような状態になることもあります。
ブルームでなくカビの場合は注意
ブルームで白い粉や膜が張ったような状態になったチョコレートは、上述したように食べることはできます。
しかし、カビと間違えてしまうこともありますので、注意するようにしましょう。
チョコレートは脂肪分や糖分が多いですが、微量な水分を含んでいます。
生クリームや洋酒、果汁等が含まれているチョコレートは水分が多いため、保存状態によってはカビが発生してしまう場合もあります。
綿埃のような白い斑点や、緑色の斑点があるようなら、カビの可能性が高いので食べないようにしてください。
ブルームには2種類ある
チョコレートで起こるブルーム現象には2つのタイプがあります。それぞれのタイプの特徴ついて、みていきましょう。
ファットブルーム
ファットブルームとは、チョコレート薄く白い膜が張られているように見える状態のことです。
原材料であるカカオ由来の油脂、カカオバターに含まれている結晶が溶け、再度冷やされて固まった際、白濁した状態になるのです。
ファットブルームが起こる原因はさまざまです。
製造過程におけるテンパリングと呼ばれる温度調整が充分なものでなかかった、温度変化で溶けたチョコレートが再び固まった等が考えられます。
シュガーブルーム
シュガーブルームは、温度の変化によってチョコレートの表面に水滴が付きます。
水滴に含まれている砂糖が溶けだして蒸発し、再び結晶となって固まって残り、白い斑点が模様のような状態になるのです。
10度以上の急激な温度変化や、湿度が高いところに保管しておくことは、シュガーブルームの原因となります。
ブルームを防ぐ方法
チョコレートのブルーム現象を防ぐためには、具体的にはどういった対処方法を取ると良いのでしょうか。
以下の3つのポイントについてみていきましょう。
急激な温度変化はブルームの原因
急激に温度が変わる場所にチョコレートを保存しておくと、ブルーム現象が起きやすくなります。
温度が高い場所に置いていたチョコレートをいきなり冷蔵庫に移すこと等も控えましょう。
温度が常に20℃より低い場所に保管しておくようにしましょう。
湿度の高い場所に置かないこと
高い湿度もチョコレートのブルーム現象の原因となります。
湿気に含まれている水分によって、ブルーム現象が引き起こされてしまいます。
冷蔵庫の野菜室は温度が低すぎないため、保管する場所としておすすめです。
直射日光の当たる場所は品質低下の原因に
直射日光が当たる場所に置かないことも大切です。
28度を超えるところは避けましょう。
また、車の中に置くことや、ストーブ、ヒーター等の暖房、火の近くに置くことも避けましょう。
ブルーム現象が起きたときの対処法
気を付けていたつもりでも、ブルームが起きてしまうことはあり得ます。
そんなときの対処法をご紹介します。
まずはそのまま味わう
ブルーム現象が起きたといっても、ココアバターや砂糖が表面で結晶化したというだけです。
食べることで健康に害はないため、そのまま食べることが可能です。
ただ、口当たりや風味に違いが感じられることがあります。
一口味わってみて気になる場合には、アレンジを検討してみてください。
チョコレートを溶かして固め直す
チョコレートの風味や食感を戻したいのであれば、チョコレートのテンパリングを試してみましょう。
テンパリングは、ざっくり言うとチョコレートをボウルに入れて湯煎して溶かし、攪拌する作業です。
細かな温度調整が必要ですが、チョコレート表面に起きているのがファットブルームであれば、テンパリングしたチョコレートを再度固めることで風味や口当たりが元通りになります。
ホットチョコレートとして楽しむ
ミルクに混ぜて、ホットチョコレートとして楽しむ方法もあります。
溶けやすいように細かくしたチョコレートを、ミルクと一緒にお鍋で温めて、全て溶けきったら完成です。
ポイントは、沸騰させないようにすることと、チョコレートの分量をミルク200ccに対し30gほどにすることです。
チョコレートは割ったり砕いたりしても良いですが、ダマになるのが気になるなら、包丁で刻むことも考えてみてください。
起きているブルーム現象がシュガーブルームであれば、ホットチョコレートするのがおすすめです。
夏場は冷やしてアイスチョコレートドリンクにアレンジもでき、ココアに入れて一層おいしくすることもできます。
チョコレートスプレッドとして使う
チョコレート感を味わいたいなら、チョコレートスプレッドとして使う方法もおすすめです。
チョコレートを耐熱容器に入れてレンジで温めれば、溶けたチョコレートをトーストやクラッカーに塗って味わえる、チョコレートスプレッドが完成します。
ミルクやアーモンドミルク、無塩バターなどを足すと、より本格的です。
ブルーム現象が起きているのがハイカカオチョコレートで、甘みが足りない場合は、砂糖を足して混ぜることでも味を調整できます。
お菓子や料理の材料に
お菓子作りや料理が好きな方なら、ブルーム現象が起きたチョコレートを材料にするのも良いでしょう。
簡単に作れるお菓子には、プリンやガトーショコラ、ブラウニーやクッキーなど、さまざまなものがあります。
高価なチョコレートをブルーミングさせてしまったら、本格的にチョコレートケーキを作ってみても良いかもしれません。
また、料理としても、カレーやビーフシチュー、ミートソースやハヤシライスなどの隠し味に使えます。
ハイカカオチョコレートのように砂糖が少ないものなら、コクと深みを追加できるため、特におすすめです。
正しい保存でブルームは簡単に防げます。
ブルーム現象が起こったチョコレートは問題なく食べられますが、味や風味や劣化し、舌触りもザラザラしたものになってしまいます。
すぐに食べない、食べきれなかったチョコレートは正しい方法で保存しておくことで、ブルーム現象を防ぐことができ、おいしい状態を保つことができます。