2021.10.28
チョコレートは体に良い?食べて期待できる効能・健康効果について
かつて、チョコレートは「食べ過ぎると鼻血が出る」「食べるとニキビができる」と言われていました。
現在では、チョコレートと鼻血やニキビは医学的に関係があまりなく、根拠として薄いことが判明しています。医学が進歩した現在では、むしろチョコレートは適量ならば健康に良いとされ、食べ過ぎなければ様々な効能・健康効果が得られると考えられているのです。
事実、大手製菓会社の中には医療機関と共同研究を行い、医学的効果の有無を研究・検証している企業もあり、効能や健康効果に注目したチョコレートも販売されています。
ここでは、そんなチョコレートの効能や健康効果についてお話しましょう。効能は滋養強壮?かつてのチョコレートは薬だった?
チョコレートは、紀元前の古代メキシコでは貴重な飲み物として扱われており、嗜好品であるとともに滋養強壮の薬としても愛飲されていました。
事実、原料となるカカオには、疲労回復や滋養強壮などの効能を期待できる成分がいくつか含まれています。古代メキシコではドロドロとした液体だったチョコレートですが、ヨーロッパに広まって、変化していきます。
1800年代の半ばには現代のような食べるチョコレートとして世間一般に伝わり、薬ではなく、お菓子として浸透していきました。
また、今でこそ甘くなめらかな口溶けで味わえるチョコレートですが、紀元前頃では唐辛子や香辛料を用いて飲んでおり、現代のような味とは全く異なります。チョコレートに含まれる効能・健康効果が見込める栄養素
チョコレートに含まれる栄養素の中で、効能・健康効果があると考えられているのは
・カカオポリフェノール
・カカオプロテイン
・テオブロミン
の3つです。チョコレートの効能や健康効果を知る前に、この3つの成分がどういったものかをお話しましょう。
カカオポリフェノール
「ポリフェノール」と聞くと、ワインやコーヒーに含まれている成分を連想するかもしれません。
しかし、実際にはポリフェノールの種類は5000を超えており、すべて正式な名前が異なります。
例えば、お茶に含まれているタンニンや、赤ワインに含まれているアントシアニンもポリフェノールの一種です。
カカオに含まれているポリフェノールは、カカオポリフェノールといい、チョコレートの効能や健康効果の多くに関係している成分です。
渋味や苦味を感じさせる成分でもあるため、効能を期待してカカオの割合が高いチョコレートを選ぶと、渋味や苦味も深くなります。カカオプロテイン
カカオプロテインとは、カカオに含まれているタンパク質です。
カカオポリフェノールの効能や健康効果として説明できない効果がチョコレートにあるとし、2015年から帝京大学が研究を行い、世界で初めて抽出に成功しています。テオブロミン
カカオ特有の苦味成分とされるのが、テオブロミンです。
カカオの学名である「テオブロマ」に由来する成分であり、自然界では、ほぼカカオにしか含まれていません。
人に対しては効能や健康効果が期待できる成分ですが、犬や猫にとっては猛毒であり、食べさせるのは禁忌とされています。カカオポリフェノールによる効能
チョコレートに含まれたカカオポリフェノールに期待できる効能や健康効果は、主に血管に関連するものが挙げられます。
カカオポリフェノールは、摂取することで血管を広げて血圧の上昇を抑えたり、抗酸化作用によって動脈硬化の予防につながったりすると考えられています。実際に検証したところ、血管が拡張されることで血圧が高くなるのを防ぎ、抗酸化作用でコレステロールの酸化をおさえ、血液がサラサラになったという結果が発表されました。
血行が良くなることで基礎代謝が向上するため、冷え性の改善や疲労回復、老廃物の排出による肌トラブルの改善が期待できます。カカオプロテインによる効能
チョコレートに含まれたカカオプロテインに期待できる効能や健康効果は、腸内環境の改善です。
帝京大学が平成27年に行った研究によると、カカオプロテインは難消化性の物質であり、小腸では消化されずに大腸まで届くと考えられています。
そして、大腸まで残ったカカオプロテインは、腸内細菌の栄養分となり、腸内環境を整えることが期待されています。テオブロミンによる効能
チョコレートに含まれたテオブロミンに期待できる効能や健康効果は、自律神経に作用することで発生するリラックス効果です。
自律神経には2種類あり、行動力に作用する交感神経とリラックス時に作用する副交感神経がバランスを取ることで、日頃の活動や休息を適切なものにしてくれます。体がストレスを感じると交感神経が優位になり、体は興奮状態に陥ります。
このストレスが適度なものなら、健康に影響はありません。
むしろモチベーションにも作用するので、交感神経が活発になれば、運動や勉強、仕事を精力的に行う事が可能です。
しかし、常にストレスを感じて交感神経が優位になると、副交感神経が作用せずにリラックスするのが難しくなるため、不眠症や慢性的な疲労に繋がる恐れがあります。
テオブロミンには、この自律神経を整える作用があります。
チョコレートを摂取することで、リラックスして心を落ち着かせる効果が期待できます。チョコレートの効能や健康効果を活かすには?
チョコレートには、さまざまな効能や健康効果が期待できます。
ただ、それらを活かすためには、いくつかの注意点を守って摂取しましょう。脂質の高さに注意
チョコレートの中には、ハイカカオチョコレートのように、カカオ成分が豊富な種類があります。
ハイカカオチョコレートはカカオ成分が70%以上で、上記の成分が通常のチョコレートよりも多く含まれています。
ただ、相応に脂質が多く、摂取カロリーも高くなってしまいがちです。
チョコレートに効能や健康効果を期待するのであれば、食べ過ぎないように注意が必要です。妊娠期間や授乳期間は控えめに
チョコレートには、カフェインが含まれています。
カフェインを過剰に摂取すると、赤ちゃんへの悪影響が考えられるため、注意が必要です。
カフェインによって神経が興奮したり、利尿作用でトイレが近くなったりすることもあります。
特にカフェインが多いチョコレートほど、食べ過ぎにならないようにしましょう。添加物も要確認
チョコレートには、添加物が使われていることがあります。
口どけを良くする、保存性を高めるなどの効果を持つ添加物は、必ずしも健康に悪いものではありません。
しかし、人によってはアレルギーを起こすことがあり、頭痛や下痢など体調不良の原因にもなり得ます。
チョコレートに自分と相性の悪い添加物が含まれていないか、成分をチェックするようにしましょう。まとめ
チョコレートによる効能や健康効果は、製菓会社や医療機関によって見直されています。
高血圧の予防や動脈硬化予防、さらに腸内環境の調整やリラックス効果など、チョコレートには数多くの可能性が秘められています。
これらは、チョコレートの主成分であるカカオに多量に含まれたポリフェノールをはじめ、カカオプロテインやテオブロミンがもたらす効果です。だからといって、大量にチョコレートを食べるというのは推奨しません。
チョコレートにはたしかに健康効果があるかもしれませんが、脂肪分や糖分も多量に含まれているため、大量に摂取することで健康を害する恐れがあるからです。上述したように、チョコレートは今やお薬ではなく、気軽に口にできるお菓子です。
「健康のために食べる」という考えよりも「美味しく味わう」という考えで口にしたほうが、よりチョコレートの風味を楽しめます。
チョコレートは適量を守り、美味しく味わってください。参考
バレンタインデーの由来とチョコレート|学長 原田豊己神父、食品栄養学科 林泰資教授|食品栄養学科|ノートルダム清心女子大学
チョコレート摂取による健康効果に関する実証研究 最終報告 | みんなの健康チョコライフ | 株式会社 明治 – Meiji Co., Ltd.
チョコレートに含まれる「カカオポリフェノールにより、動脈硬化につながる、炎症や酸化ストレスが低下しました。」の項目
カカオポリフェノールの3つの効果 | 神戸徳洲会病院
ポリフェノールの種類と効果と摂取量 | 健康長寿ネット
健康と抗酸化作用の高いカカオポリフェノールの関係ついて | 健康管理能力検定 文部科学省後援
知らなかった!チョコレートの効果 | 神戸徳洲会病院